No pain, no gain


by sharpens_you_up

カテゴリ:書籍( 27 )

クローズド・ノート

クローズド・ノート (角川文庫)

雫井 脩介 / 角川グループパブリッシング

スコア:


最近ピュアな物にとても弱くてサクッと心のツボを押さえられちゃいました。
「犯人に告ぐ」と同じ作者が書いたとは思えない市川拓司のような純粋な恋愛小説でした。
作中出てくる小学校の先生がやけにリアルに描写されていて
雫井脩介ってすごいなって驚いていたら
この先生、すでに他界されている作者の実の姉がモデルで
実家の押し入れなどに残されていた子供たちからもらった手紙や
不登校児童の母親と交わした連絡帳の写しをそのまま使っているらしいです。
その先生の言葉に主人公同様読者も勇気をもらえるので
この物語はドキュメンタリー的な要素も含んだ深いお話です。

読み終わってもう何日か経ちますが
しばらくこの伊吹先生と石飛さんと香恵ちゃんの世界に浸っていたい。
そう思える作品です。
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by sharpens_you_up | 2009-02-23 00:48 | 書籍

タイタンの妖女

タイタンの妖女
カート・ヴォネガット・ジュニア 浅倉 久志 / 早川書房
ISBN : 4150102627
スコア選択: ※※※※※

最近は仕事が忙しく遊びに出かける時間がないので合間の息抜きに読みかけの小説を漁っている。今日読み終わったのはカート・ヴォネガット・ジュニアの「タイタンの妖女」。僕は市川拓司の「いま、会いにゆきます」で主人公が彼女とデートの待ち合わせの時に読んでいた本ということで気になり買った本なのだが、爆笑問題の太田光はこの本を「自分の人生を変えた本」と称し自らの事務所の名前を「タイタン」にしたというエピソードを持っている。

この本はいわゆるSF小説で非現実的な世界で繰り広げられる大人の書いた子供用の漫画といったストーリーなのだが、要所要所に現代に生きる人々に痛烈な皮肉を込めた社会風刺が入っていたり、最終的には人はなぜ生きるのかを問う哲学本となっている。

世界一の富豪の子供として生まれた主人公のコンスタントはその恵まれた環境から日々怠惰な生活を送っていた。自らは何もせず、ただ幸運だけで今の地位があるにもかかわらず、自分は神に選ばれた人間とおごれていた。そんな彼がある時、見えない何かの操作によって人生を翻弄される冒険に旅立つ。

コンスタントの冒険は宇宙規模で生殖、洗脳、戦争、宗教にまで及びながら壮大なスケールで展開していくのだが、結局それら人間が繰り返し行ってきた歴史的な事柄、しいては人類の起源はすべて他の惑星の生命体がすごいくだらない理由で操っていたものだったという落ちが待っている。

人生を弄ばれボロボロにされたコンスタントは最後に悟ったかのようにいいます。
「おれたちはそれだけ長い間かかってやっと気づいたんだよ。
 人生の目的はどこのだれがそれを操っているにしろ、
 手近にいて愛されるのを待っているだれかを愛することだ、と」

僕はこの本を読み終わり、社会を生きてる人はみなコンスタントと一緒なのかもしれないと思った。ただ人生は見えない何かに生かされているにしろ、大事なのは自由意志だよってヴォネガットは言いたかったのではないだろうか。

爆笑問題の太田光はこの本の感想を「人間が生きている意味なんて、大した意味なんてありません。だから安心してって言ってくれるんだね。世の中がこの世界に存在する意味なんて大したことじゃない。それでも、みんな未熟な人間達がいて、それでも人間は生きていていいんだよって最後言ってくれるの。それが凄くハッピーなんだよね。」と言っている。本の解釈は人それぞれでまた正解もないのだけれどもこの感想はほんと太田さんらしい見解だなって思った。
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by sharpens_you_up | 2006-12-04 19:59 | 書籍

白夜行

白夜行
東野 圭吾 / 集英社
スコア選択: ★★★★★

今年の正月から読み始めた小説です。文庫本のくせに854ページもあり辞書と変わらない厚さだったため普段持ち歩くことができず読み終わるのに11ヶ月かかりました。いまは達成感でいっぱいです。

a0036400_23564.jpg本の厚さがフリスクの横幅と同じ。

この白夜行も東野圭吾の作品。今年TBSでドラマ化されたらしいがそれは見てないのだけども原作を読む限りではこれをどうやってドラマ化したのかが非常に気になります。たぶん原作とはほど遠いものになっているに違いない。DVDになっていたらTSUTAYAで借りてみよう。

とにかく長いお話だった。幼少時代に起きたとある事件をきっかけに裏の世界で相利共生することになった男女の19年間もの長い歳月を綴った物語。
主人公の桐原亮司と西本雪穂。表の世界では全く別の道を歩んでいるこの二人が次々と起こる忌まわしい事件の中で「裏で何やってんだ!」ってお話です。

ある時主人公の雪穂は言います。
「一日のうちには太陽が出ている時と沈んでいる時がある。
 それと同じように人生にも昼と夜がある。
 もちろん実際の太陽みたいに定期的に日没と日の出があるわけじゃない。
 人によっては、太陽がいっぱいの中を生き続けられる人がいる。
 ずっと真っ暗な深夜を生きていかなきゃならない人もいる。
 わたしはね、太陽の下を生きたことなんかないの。」

この白夜行とはそんな闇(夜)の世界を生きる彼ら二人の人生のタイトルです。
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by sharpens_you_up | 2006-12-02 23:55 | 書籍

手紙

手紙
東野 圭吾 / 文藝春秋
ISBN : 4167110113
スコア選択: ※※※※※

MacBookを修理に出していたので移動中電車の中ですることがなく久しぶりに東野圭吾の小説を読んでみた。タイトルは「手紙」でいま映画館で上映されている作品です。

犯罪者の家族が受ける社会からの差別がテーマになっているのですが、その差別も特に露骨ないじめなどが描かれているのではなく、「同情しているのだけども、かかわりたくはない。」といったどこにでもありそうで誰でもやりそうなリアルな差別が描かれています。

お兄さんが強盗殺人で逮捕されたせいで、主人公の弟は夢や職や恋人まで失うことになり、とんでもない苦労を背負うことになります。
「犯罪を犯したのは兄で、僕は全く悪くないじゃないか。」と自分の不幸を嘆きます。

よくある能天気な偽善系の小説ならば、この手のテーマの場合「差別をなくす社会を作ろう」的なメッセージを植え付けてくるのだけれども、この小説はその主人公に対し、

「差別はね、当然なんだよ。
 犯罪者やそれに近い人間を排除するというのは、
 しごくまっとうな行為なんだ。
 我々は君のことを差別しなきゃならないんだ。
 自分が罪を犯せば家族をも苦しめることになる。
 すべての犯罪者にそう思い知らせるためにもね。」

という台詞があったり、

ジョンレノンの「イマジン」という曲を例えにして
「差別や偏見のない世界。そんなものは想像の産物でしかない。
 人間というのは、
 そういう物とも付き合っていかなきゃならない生き物なんだ」

というアプローチで、なくすことのできない差別社会にどう向き合えばいいのかと問いかけてきます。

まぁ、最後まで救われない重いテーマの物語ですが、その中で刑務所から送られてくるお兄さんからの手紙を通じて兄弟の絆とは何か、守るべき物とは何か、更生とは何か、しいては人生とは何かを考えさせられる小説でした。ベストセラー小説でもありますし、お暇なら読んでみて下さいませ。
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by sharpens_you_up | 2006-11-30 00:31 | 書籍

塩狩峠

塩狩峠
三浦 綾子 / 新潮社
ISBN : 4101162018
スコア選択: ※※※※※

いままで読んできた本の中でナンバーワンと言っていいほどの素晴らしい作品に出会えました。長野政雄さんという実在した人物の史実に基づいたもので、その謙虚で慎ましく、人間愛と信仰に命を捧げた青年の生涯を描いた作品。

キリスト教系の月刊雑誌に掲載されていた小説なので聖書の引用が随所に出てくるのですが、それらもただ単にありがたい言葉を押し付けるのではなく、主人公の経験からその言葉の意味を読者も一緒に理解させる描き方に感銘を覚えました。自らをおごることの稚拙さや、謙虚に生きることの美しさ、また自分を傷つける人までをも愛せるその慈悲深さ、人々を守るために自らの命を捧げる自己犠牲、もちろん僕はとても真似することはできませんが、いまの時代だからこそ人間としての大きさや優しさ、人間の幸せの意味を考えるいい機会を与えてもらいました。
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by sharpens_you_up | 2006-02-21 23:58 | 書籍

弘海 -息子が海に還る朝

弘海 -息子が海に還る朝
市川 拓司 / 朝日新聞社
ISBN : 4022579900
スコア選択: ★★

「いま、会いにゆきます」の市川拓司さんの本。身体に奇妙な変化が起こりはじめる子供を不安に襲われながらも、家族の愛情と絆で懸命に乗り越えようとする夫婦のお話。なのかな?w
つまらない本だった。市川さんのいままでの実績で思わずこの本を買ってしまった人は絶対読んだあと後悔してると思う。もし仮にこの本が彼のデビュー作なら誰も買わないし、市川拓司という名前は世間に出まわらかっただろう。
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by sharpens_you_up | 2005-04-11 23:42 | 書籍

野ブタ。をプロデュース

野ブタ。をプロデュース
白岩 玄 / 河出書房新社
ISBN : 4309016839
スコア選択: ★★★★

21歳の現役専門学生が書いた青春学園ものコメディ。「第41回文藝賞受賞作で芥川賞にノミネート!」ってヤフトピに書いてあったのを覚えてて昨日、中央林間の本屋で見つけて買いました。惜しくも受賞は逃したようですが、もし受賞してたら男性最年少記録だったらしいです。
関連ニュース(Yahoo!ニュース)

みんなにキモいと敬遠されているデブでいじめられっこの転校生小谷信太(芸名:野ブタ)を主人公の桐谷修二が学校で一番の人気者にプロデュースするというお話。この野ブタを人気者にするために次々繰り出させる作戦がおかしくてツボに入りましたwなんかギャグマンガを読んでいるような感覚でしたね。電車で読んじゃいけない作品です。

それでも後半はギャグだけにとどまらず、いまどきの人が抱える虚無感みたいのがテーマになってて、クラスでみんなにのけ者にされない立場を築くためにユーモアのある人間を演じることに疲れる主人公の「人間関係」と「それに対する自分の本音」の狭間に生まれる葛藤が描かれてたり「人は心でどう思ってようが、または言葉が本当なのか嘘なのかは重要ではなく、相手に伝わった結果が真実になる。」なんて書いてあって本質よりも噂も含め表向きの情報に左右されて成り立つ世情の構造が怖くなりましたね。

結局、芸能界なんかもそうかもしれませんが、世の中の人気者なんてものは見た目や操作された情報でいくらでも作れてその人間自体の本質がどうかなんてことは分からないし、重要じゃないってことですね。
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by sharpens_you_up | 2005-01-24 21:15 | 書籍

ねじまき鳥クロニクル

ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編
村上 春樹 / 新潮社
ISBN : 4101001413
スコア選択: ★★
ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編
村上 春樹 / 新潮社
ISBN : 4101001421
スコア選択: ★★
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編
村上 春樹 / 新潮社
ISBN : 410100143X
スコア選択: ★★

やっと読み終わりました!ほんとに長かった。いったいどれだけの月日がかかったのだろう。
僕は村上春樹大好きだけど、これは本当につまらなかった!
これが言いたいがために読み終えたようなものです。
文句を言うにもまずは読み終わらなければ言う資格がないですからね。
第一部まではまだ後半に期待しつつ読み続けていましたが、
後半に入ると「読み始めたんだから最後までやり遂げよう。」という義務感で読んでました。

分厚い本3冊に渡り、延々延々、長々長々と書いてありますが、
物語の内容は3文字で済ますことができます。「妻逃亡」。
これ以上でなければこれ以下でもないお話です。
同じキーワードがシチュエーションを変えて3回くらい繰り返して出てきて、
「これは偶然の一致だ!」みたいに書いてあります。そりゃ長くなりますよ。
同じことを書けばいいのだから書くほうは楽かもしれないけど、読むほうは大変です。
ただ、読み終わった達成感だけはいままでの中で一番かもしれませんw

いまは「タイタンの妖女」を読んでおります。
「いま、会いにゆきます」のたっくんが
澪と初めてのデートの待ち合わせのときに読んでいた本です。
ニュースでやっている「土星探査機がタイタンに着陸!」のタイタンです。
微妙にタイムリーな本になってしまいましたねw
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by sharpens_you_up | 2005-01-17 00:01 | 書籍

Separation

Separation
市川 たくじ / アルファポリス
ISBN : 4434023969
スコア選択: ★★★★★

ちっぱさんに薦められ、アマゾンで購入した本です。
アマゾンは便利でいいんだけど、カバーとしおりを付けてくれたら完璧なんだけどなぁw

ネットで連載していた小説が、多くの人たちの反響を呼んで出版に至ったという
異例ともいうべき経緯をたどった作品です。市川たくじさんのデビュー作。

主人公「悟」の、23歳の妻(途中で誕生日を迎え24歳になる)「裕子」の肉体が若返りを始め
高校生になり、中学生、小学生になっていき
しまいには家にずっと置いておくのは不安で保育園に通わせるようにまでなっていく。
体に合わせて脳も幼くなって二人の大切な思い出までもだんだん忘れられていくようになる。
そして最後は・・・。
そんな理不尽な悲劇にみまわれる二人のせつない物語です。

これもまたおとぎ話のようなお話なんですが、やっぱり涙が止まらなかった(T-T)。
この作品がネットで大反響を及ぼしたのは十分に納得できます。
市川さんは人を泣かせるツボを心得ているなぁ・・・。
なんていうかなぁ、一言でいうと、ずるいよw

ほんとに彼らは多くは望まず、つつましいささやかな暮らしを求めているだけなのに。
「どうしてこんないい人たちにこんなことが起こるんだよ!」って泣きたくなります。

裕子が5歳くらいの体になったとき(もうこのときは昔の記憶はほとんど残ってない)、
裕子が本当に幼かった頃に乗ったという、高原の遊園地のコーヒーカップに乗るんです。
そのときにほんの一瞬だけ奇跡的に昔の思い出が彼女に戻って、こう言います。

「私ってほんと幸せだったんだね、いろんなこと思い出した。ずっと忘れていたんだ。
お父さんやお母さんのこと、悟と初めてキスしたときのこと、初めて抱き合ったときのこと。
なんで、こんな大切なこと、忘れてしまっていたんだろう。

私は、父や母や、そしてあなたから、抱えきれないほどの悦びを与えてもらったけど、
それでもまだ、望みごとをしたら、誰かさんに叱られてしまうかしら?

出来ることなら――
出来ることなら、もう一度だけ大人の身体に戻ってあなたに抱きしめてもらいたい・・・」

「もどしてやれよ!市川さん!(T-T)。」
ええ、僕はこう心の中で叫びました。完全にやられてますね、僕w
物語の中ではこんな愛に溢れた二人のやりとりがず~~っと続きます。
コテコテかもしれませんけど、こうゆうのが好きな人はぜひ読んでくださいませ。
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by sharpens_you_up | 2004-12-22 00:43 | 書籍

そのときは彼によろしく

そのときは彼によろしく
市川 拓司 / 小学館
ISBN : 4093861382
スコア選択: ★★★★

市川拓司作品3作目。今年の11月に出版されているので新作ですね。
市川さんのいままでの作品に比べるとずいぶん長い小説だったなぁと思いました。
彼の本は一日で読み終えられるからいいなぁと思っていたんですが、
これはちと一日で読むのは困難です。
むしろ物語の性質上、時間をかけて読んだほうがより感動が大きくなるようにできてます。

これはいままでのような涙を誘うような作品ではありませんでした。
その代わり、胸にしみじみと温かいものが残る感じの物語です。

主人公「智史」はもうすぐ30歳になるアクアショップ「トラッシュ」の店長。
少年時代、父親の仕事の都合で全国を転々として転校を繰り返していたのだが
14歳のとき、一生の親友と誓った「佑司」と「花梨」と1匹の犬「トラッシュ」と過ごした
1年間の思い出が忘れられず、いつもその頃のことを思い出していた。
そんなある日、アルバイトの面接で「森川鈴音」と名乗る元モデルの怪しい女性が現れ
なんとなく平穏だった生活が一変し、物語が始まる。

物語は現在の主人公と14歳の頃のエピソードが交互に進んでいく感じの構成になってて
メインはどっちかっていうと14歳の頃の「3人と1匹の友情愛」かもしれません。
だから、今回は恋愛ばかりだけでなく友情愛や家族愛なんかも入っております。

ただちょっと欲をいうと結末が予想通りになってしまったのが残念。
いままでの作品では最後は奇抜なアイデアで驚かされてたから
今回はどんなのが待ってるかわくわくしてたので少し期待外れだった。

僕が嬉しかったのは一匹の犬「トラッシュ」はムク犬で「ヒューウィック?」って鳴くんですよ。
これって「いま、会いにゆきます」でノンブル先生が飼ってて
佑司が逃がして行方不明になってた「プー」なんですよw
僕はずっとどこに行ったのか気になってて、「こんなとこにいたのかぁ」と嬉しかったです。

一昨日アマゾンで買ったSeparationが届きました。いまはこれを読んでます。
これを読み終わるとひとまず市川拓司作品は読破となります。
彼の作品は読みやすいし分かりやすいから人にも薦めております。
現在、同時に村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」も読んでいるのですが
読み始めてもうすぐ1ヶ月になろうとしているのにまだ3部あるうちの2部の後半です・・・。
しかもだんだん難解になってきました。これはマニアックな人にしか薦められない本ですw
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by sharpens_you_up | 2004-12-20 23:49 | 書籍